6月2日で、日本出発から60日が経った。
インドネシア・バリから始まり、現在はミャンマー・マンダレーにいる。
今日は辺りを一望できるMandalay Hillに行ってきた。もちろん夕日を見るために。
もちろん というのは、僕が夕日をすこぶる好きだからだ。
マンション9階の実家には西向きの大きな窓があって、小さい頃からよく夕日を眺めていた。
夕日自体よりも夕暮れ時のあの雰囲気が好きなのかも知れない。
東南アジアはといえば、連日35度越え。ましてやちょうど5月は酷暑期で、40度近いのもザラである。
張り切って朝から観光をしようにも、昼飯を食べたくらいで一旦帰ろうという気になってしまう。
17時頃になると陽も傾いてくる。
昼寝後の気怠さを感じながらも、夕食を食べるために宿を出る。
蓄熱されたアスファルトを冷ますように風が吹き、それを合図にして現地の人達は屋台の準備を始める。
良い匂いにつられながら、午後の怠惰を帳消しにするように練り歩く。
そして気づいたらもうすっかり夜になっている。
僕の東南アジアでの過ごし方はこんな感じ。
そしてその時、必ずと言っていいほど空を眺める。
今日は綺麗に焼けるかな、そんな事を考えながらお気に入りの夕日スポットを探す。
宿の屋上、歩道橋、坂の上。少しでも高く、見晴らしの良い所を見つけ出して、そこから真っ赤に染まる空を眺められたらもうそれだけでめっけもんだ。
そして今日はMandalay Hill。トコトコと階段を30分ほど登ったら頂上にたどり着いた。
360度見渡せる展望台からの景色は本当に美しかった。
北は平原、南には旧王宮と碁盤目状に広がる道、東には山と入道雲、そして西には沈みゆく太陽。
あいにく夕日は顔が隠れていたけれど、そこから漏れる橙の光が東の山と入道雲を淡く染める。
僕はその入道雲がお気に入りだった。
するとなんだか、日本の夏の夕暮れが思い出されてきた。
小学校のプール。
丸一日の練習試合。
サークルの夏合宿。
友達との国内旅行。
色々な出来事がほつほつと脳裏に浮かんでくる。
1番好きな季節はと聞かれれば秋と答えるし、ならば嫌いなのはと聞かれれば夏と答える。
どこに行っても暑いって言うのは本当に気が滅入るし、汗をかくと人に気を使わないといけなし、虫はわんさかいるし。
夏ってのは秋から冬にかけての大好きな時期を彩るためのツマ程度にしか思っていなかった。
けれど今思い返すと、沢山の思い出が夏休みに詰まっている。
暑い暑いとうなだれていた東南アジアでの2ヶ月も、いつかこんな風に、ふとした時に蘇ってくる大事な思い出になっているんだろうな。
夕焼けは、そんなことを思わせてくれる。